ほとんどのランナーは、アウトソールの減り方でシューズの交換時期を判断します。
しかし、アウトソールが明らかに解るほど劣化したとき、
ミッドソールの緩衝機能は明らかに低下しています。
ランニングシューズのミッドソールはEVA(エチレンビニルアセテート)や、ラバーを貼ったEVAでできており、接地の衝撃を和らげたり、ライド感を安定させるために用いられています。
EVAは1970年代に開発され、空気やゲルのような他のクッション材や、ウェーブプレート、フットブリッジ、キャンレバー、トラストシステムなどの接地の衝撃を最小限にして足を正常な軌道に導く工学デザインと共に使われてきました。
ランニングシューズの寿命は、重量が片足250g~350g程度のジョギングシューズでも
800km~1000kmと言われています。
しかし、それは二日に一回使用した場合で、毎日使用した場合、560km~800kmで寿命を迎えるようです。
シューズを使うと、ミッドソールは潰され薄くなります。
それが元の厚みに戻るまで24時間から48時間かかると言われています。
元の厚みに戻る前に、連続して使い続けると、ミッドソールの摩耗(潰れ・硬化)は早くなり、結果としてシューズの寿命は早まります。
また、一度に走る走行距離数や、ランニングフォーム、気温によってもシューズの寿命は変わってきます。
ミッドソールに求められる役割りは、衝撃を緩和する衝撃吸収性、履き心地にフィット感を与える柔軟性の他に、走行時のブレを防ぐ役割りがあります。
このシューズは3カ月で少なくとも2400km走ったシューズです。(月間800km)
ミッドソールがフカフカになっていました。
硬くなったミッドソールも問題ですが、柔らかくなり過ぎたミッドソールもまた問題があります。
前に進もうとする推進力が逃げてしまい、速く走れないだけでなく、足首がグラつけば、その上にある膝関節もぐらつきます。膝の靭帯や、半月板を痛める原因にもなります。
これは、キロ 3分50秒で走った時の着地のときに起きるシューズの変形です。
ゆっくり歩く時の片足にかかる外力は、体重の120%と言われています。体重50kgの人で例えると片足に60kgかかる計算になります。
走る時にかかる外力は、その速度にもよりますが、体重の3倍と言われています。
体重50kgの人で、少なくとも80kg~150gの外力が体に入ることになります。
30分のランニング中に、左右の足は2700回づつ着地します。
ミッドソウルは、その外力をシューズが和らげる役割をします。
体が受ける衝撃はシューズの硬さによっても変化します。
ミッドソールが硬化すると膝や腰の故障にもつながります。
柔らかさが求められる反面で、崩れない硬さが要求されるのです。
このシューズは実業団選手が使っていたシューズです。
アウトソールの一番よく削れる所が1~1.5mmしか削れていませんでしたが
ミッドソールが寿命を迎えていました。
踵(かかと)の痛みを訴えて来院したランナーから頂いたレースシューズをカットしました。
使用した期間は、フルマラソンに一回と、わずかな練習に使用しただけす。
アウトソールの削れは1mm未満でしたがミッドソールは寿命を迎え、踵が着く部分をつまんでみると3~4mm程度の厚さでした。
新しくシューズを購入した時は、履く前にミッドソールの柔らかさを確認することを習慣にすると良いでしょう。
このシューズは買って三か月、使用頻度は毎日走るほどではないけど、週末に一度に30km程度使用したシューズです。500km程度しかつかっていませんが、ミッドソールは柔らかくなり、プラスチックのウェーブプレートには地面を叩いた傷が残っていました。
このように、ミッドソールが劣化する事により、シューズに設置されたウェーブプレート、フットブリッジ、キャンレバー、トラストシステムなどが足の裏を突き上げ、足底腱膜炎など、足の裏を痛めることがあるので注意が必要です。
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