
どんな痛み?
体育で長距離走が始まってから踵の後ろを痛がる


幼児期は、運動後に踵の後ろ下方の痛みを訴えることが多い。X線写真を撮ると、踵骨後方の骨端核に硬化画像や、分節画像を見る事がある。これを踵骨の骨端症としてシェーバー病と呼んでいた。この骨端核は6~7歳で出現し、16~18歳で踵骨体部と癒合する。この間、種々の像を呈するが、硬化像や分節画像があっても全く無症状の事が多い。
原因としては
アキレス腱の過牽引
急激すぎる成長
踵への衝撃など 種々の説があるが、明らかではない。
これらの像が病的な像なのか、単なる成長過程のものなのかは不明である。
したがって、保存療法としては、局所の安静や温熱療法を行い、靴の踵を高くしたり、クッション材を敷いて踵をストレスから保護する程度で良い。予後は良好なので、穿孔術などの手術の必要はない。
踵骨骨端症(シーバー病)の痛みは長期的になりやすく、治ったと思っても運動を始めるとかかとの痛みが再発する事もあります。痛みが発症した場合、教科書どうりの指示を言うならば二週間の安静です。局所が熱をもち、痛みが強い場合は冷やしたりしながら安静を保ちます。安静にしていて、痛みが引いたからといって、激しい運動を再開すると再発の恐れがありますので、徐々に運動を再開すると良いでしょう。運動を再開して、再び痛みが出る場合、教科書どおりに言えば、再び二週間の安静です。
治すために私達にできること
アキレス腱を過牽引している原因を究明し、改善する。
歩行・ランニング等の動的な検査をおこない、足に過度な負担をかけている故障個所を究明し改善する。
シューズの点検、必要があれば交換・修理・改善を行う。
上記を踏まえて、体、フォーム、エクササイズ、その症状にあったシューズの選び方などアドバイスを行う。
問診と触診、および動作分析
通常、誰もが靴を履きます。しかし、シューズの知識があるドクター、療法士はわずかです。
看板にはスポーツ整形外科と書いてあっても、シューズ、スパイク選びどころか、どんなスパイクが売っているのか?それすら解らない事がほとんどです。
また、X線に写らないような足の痛みとなると、苦手にする先生が多いように思います。
X線に写らないような足の痛みでは、問診と触診、特に触診と動作分析が重要になります。
壊しているのは足なのか?それとも脚なのか?
痛みの原因の一つである;アキレス腱の過牽引ですが、多くの療法師はふくらはぎからアキレス腱部に対し、「筋肉が硬いからほぐす」 そういう意味合いでマッサージを施したり、低周波・干渉波などの電気的な刺激を与えたり、マイクロ波、超短波などで ふくらはぎからアキレス腱にある筋肉を緩めようとします。

アキレス腱は、踵骨腱とも言い、足にあるふくらはぎの腓腹筋、 ヒラメ筋をかかとの骨(踵骨突起)に付着させる腱のことを言います。

膝の屈曲位で症状が緩和されるようなら、
腓腹筋が主な原因かもしれません。
立位、座位、臥位など、様々な角度で見る必要があります。
アキレス腱の一部を構成する腓腹筋は大腿骨から踵骨に付着します。大腿骨と、下腿骨のアライメントも、
アキレス腱を牽引する要因になります。アキレス腱=ふくらはぎの筋肉の腱ではないのです。
勘違いされている事が多いようです。

膝が中に内旋する動き(knee in)でも、アキレス腱は牽引されます。
ふくらはぎに硬さ・異常がなくても、この動きが大きければアキレス腱の過牽引は起こりえます。knee in の動きは、中臀筋や、大臀筋が大きく影響します。
ゆえに、本気でシェーバー病を治したいのであれば、
背部、腰部、臀部まで見る必要があります。
踵の異常ではなく、体の異常として、全体像をとらえることが大切です。
硬縮か?癒合か?

アキレス腱は踵の骨につきます。
足底筋は踵から足の指の骨につきます。
原因ではなく、誘因を探すこと。
幼児期から少年期にかけて、踵の骨が柔らかいのは異常ではなく、通常です。
では、なぜ?痛くなる子と、痛くならない子があるのでしょうか?
良い結果には、良い原因があり、
悪い結果には、悪い原因があります。
痛みの原因ではなく、その痛みを誘発させた誘因を探すことから始めなければ、
安静にすることや、消炎鎮痛剤で、一時的に痛みがなくなったとしても、運動を始めれば、また同じ痛みを繰り返します。

足の痛みを診察するときは歩行を観察しなければ始まりません。
局所だけにとらわれず、全体像を見ることで解る事が多くあるからです。
例えば、痛みとは反対の足首が悪いだけでも、故障は起こります。