症例│L019丨安全靴着用下におけるしゃがみ動作時の姿勢変化に対する靴下条件の影響

1. 目的


本治験は、安全靴着用時におけるしゃがみ動作および立ち上がり動作中の身体負担の差異を、靴下条件の違い(一般的な靴下とラクちんソックス)によって比較・検証することを目的とした。

2. 対象


被験者は、健康な成人男性自衛官とした。
いずれも運動機能に支障を有さず、日常的に安全靴を着用する環境にある者である。

3. 方法


安全靴を着用した状態で、

  • 立位

  • しゃがみ込み動作

  • しゃがみ姿勢の維持

  • 立ち上がり動作

を実施した。

側方より動作を撮影し、頭部(耳の位置)を指標として前後方向の移動距離を計測した。
取得したデータは、立位からしゃがみ動作、および立ち上がり動作における頭部前方移動量としてグラフ化した。

比較条件は以下の2条件とした。

 

  • 一般的な靴下(青線)

  • ラクちんソックス(緑線)

4. 結果


立位からしゃがむまでの中間動作

 一般的な靴下着用時は、ラクちんソックス着用時と比較して、頭部の前方移動距離が大きかった。

立ち上がり動作の中間局面

同様に、一般的な靴下着用時において、頭部がより前方へ移動する傾向が認められた。

最大しゃがみ姿勢

 一般的な靴下着用時は、上半身が前傾し、腰部の前屈角度が大きくなる姿勢が確認された。

  1.  一方、ラクちんソックス着用時は、胸部を起こした姿勢を保ったまま、いわゆる野球のキャッチャー姿勢に近い安定したしゃがみ姿勢が観察された。

5. 考察


安全靴は踵が高い構造(ドロップ角)を有するため、しゃがみ動作において身体重心が前方に移動しやすく、結果として前かがみ姿勢を誘発しやすい特性を持つ。

この前傾姿勢は、

  • 腰部への前屈負荷

  • 膝関節の屈曲角度増大

  • 頚椎の過伸展(前方注視時)

といった複合的な身体負担を増大させる要因となる。

さらに、多くの安全靴には内側が高く外側が低いアーチサポート構造が採用されており、継続使用によりインソール外側のヘタリが進行すると、内側荷重が強調される傾向がある。

本構造は、しゃがみ動作時に必要となる足部アーチの生理的低下や、踵から前足部へのスムーズな荷重移動(いわゆる「あおり運動」)を阻害し、結果としてトゥーアウト姿勢での非効率なしゃがみ動作を助長すると考えられる。

 

ラクちんソックス着用時には、足部荷重移動が円滑に行われ、上半身を立てた状態でのしゃがみ動作が可能となり、腰部・膝部への負担軽減につながることが示唆された。

6. 結論


安全靴着用下において、ラクちんソックスは、

  • しゃがみ動作および立ち上がり動作中の前方重心移動を抑制

  • 前傾姿勢を軽減

  • 腰部・膝関節・頚椎への身体負担を低減

 

する可能性が示された。