あえて厳しいものの言い方をしますが、「踵から着くと故障する」、「踵から着くとブレーキになる」など、理解不足と思えるような情報も多く流布されています。
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冷静になって考えてみてほしいのです。
もし、40kmを歩くとき、踵をつかないで歩いたらどうなるでしょうか?きっと、普通に歩くよりも疲れると思います。
速度に合わないフォアフット走法は、ふくらはぎの筋肉に多くの負担をかけ、ふくらはぎの肉離れを起こしたり、膝の痛みを誘発する原因になります。
「フォアフットで走らなければイケない」、そんなモノではないです。
また、“フロント接地” と “フロント着地” が混同している(曖昧になっている)情報が多いようにも思います。
フォアフットで走る選手でも、歩く時は踵をつきますし、ジョグで走る時は踵を着いて走る選手も多くいます。「シューズの踵側に削れた跡がついているからダメ」というものでもありません。
レースの前半は、フラット着地で走っていても、速度が乗ってくると自然にフォアフットになる選手も多くいます。
ヒールストライク走法の必要性も見直しましょう。
フォアフットで走る選手のシューズです(ミズノ・ウェーブライダー)
踵(かかと)はほとんど削れていませんが、前足部は摩耗しています。
ペリー博士の著書 「歩行分析」 では、こうあります。
“時速19kmを超えて走るランナーは、たいてい足のフロントから接地し、
そのランナーは時速12.5km/h ~15.4km/hで走る時も、フロント接地を選択する傾向にある。”
もっと簡単に書くと、
キロ3分前半で走れるようになると、キロ4~5分で走る時も勝手にフロント接地になってしまう傾向にある。
そんな感じでしょうか??
本来の人の歩行は、踵から地面に着きます。
速度をあげていくうちに、踵が地面から離れるタイミングが速くなり、体が浮き始め、腰の位置が高くなる、そして時速19km/h (キロ3分半)を超えると、自然とフロント接地になります
ゆっくり走る時は(時速6~7km/h程度)、意識してフロント接地をする必要はありません。
〈参考記事〉ミッドフット走法について
〈参考記事〉ヒールストライク走法について