🧠 相反神経抑制(Reciprocal Inhibition)

■ 定義

**相反性神経支配(Reciprocal Innervation)**とは、
**主働筋(動かす筋)**が収縮する際に、
拮抗筋(反対の動きをする筋)に対して弛緩の指令が出るという、
神経的な抑制メカニズムのことです。


■ たとえば…

腕を曲げるとき──
・**上腕二頭筋(力こぶ)**が収縮します。
・このとき、**上腕三頭筋(肘を伸ばす筋)**は自然と緩みます。

これは「両方の筋に同時に力が入ってしまうと、動作がスムーズに行えない」ことを防ぐための、自動的な制御システムです。


■ 臨床での応用

この仕組みを応用すれば、特定の筋がうまく働かない理由を探る際に、
反対側(拮抗筋)の異常緊張や滑走不全が原因になっている可能性を想定できます。


■ 実例:長腓骨筋と前脛骨筋

  • 長腓骨筋:足を底屈+外反する働き

  • 前脛骨筋:足を背屈+内反する働き(拮抗筋)

👉 前脛骨筋が過緊張癒着を起こしていると、
 反対側の長腓骨筋に力が入りにくくなることがあります。


💡臨床ワンポイント

 

  • 筋肉が「弱い」のではなく、神経抑制がかかっているだけかもしれません。

  • 拮抗筋の柔軟性や滑走性を回復させることで、力が入りやすくなるケースは非常に多いのです。