足関節捻挫後遺症を連動動作の観点から改善する

足首に触ることなく、運動連鎖の観点から、小規模捻挫の関節可動域を解除する治験

 

 

 

 

 


症例

中学一年生。右足首の捻挫。MRIや、レントゲンに異常がなく、一か月以上、近くの接骨院に通ったけど足首が曲がらない、曲げると関節面が痛む・・・そんな捻挫後遺症について書いてみます。2018/07/08

 

 

 

小規模捻挫の関節可動域制限を4分で解除した過程。

小規模捻挫の関節可動域 

まず、立った状態で、右足の足先が外を向いています。足関節には運動軸が存在します。

ですから、つま先が外を向いたままでは足首関節を正常に曲げる事はできません。

 


動画:足の痛みが消えるまでの過程(4分間)

小規模捻挫の関節可動域 

治すまでの4分間の思考と手順

まず最初に見るべきこと│足関節の運動軸

足首関節には運動軸があります。

 

 

つま先が外を向いた状態では足首関節をまげることができません。

 

同様に、膝の関節にも運動軸が存在します。

 

膝の関節も捻じれていると曲げる事ができません。

 

 


まずは運動軸を正常に戻す事が必要です。


屈曲検査

 

 最初の屈曲検査では、この角度までしか曲げる事ができませんでした。

 

 そもそも、膝関節が曲がっていません。

 

 足首関節と膝関節の連動が上手くできていません。

 

足関節捻挫

人が膝を曲げる時、膝は捻じれ動きます。 この際、腓骨頭が後方にスライドするように動くのが正常な人の動きです。

 

 骨の動きで言えば、足関節が屈曲する時に、脛骨と腓骨は開腓し、距骨が中に入る必要があります。 その際、腓骨は上方に、腓骨頭は前方に、腓骨の下方は後方にスライドし、開腓が起こり、足首は曲がります。

 

 これらの生理的な骨の移動が行われず、周囲の筋肉に過伸展されれば痛む、もしくは可動域制限は当然起こりえますし、動かない関節の動きを他所の関節が補完すれば靭帯の伸展は起こりえます。 

 

ですから、触診をしながら、腓骨のモビライゼーションを行いました。


まず、膝の捻じれを治しました。

膝の捻じれ

  膝関節の捻じれを治します。

膝も腓骨と同様、人が正常に歩くだけでもメカニズムによって、大きく捻じれ、動く関節です。角度とタイミングを合わせれば容易に動きますし、容易に壊す事もあります。 

  ポイントは

  ・患者さんの膝と足首の角度が生理的に最も動きやすい角度をつくっていること。

  ・健側の坐骨に患者の体重を乗せていること。

 

   腓骨や、膝の捻じる動きは、人が歩くたびに大きく動いています。

   動く角度とタイミングさえ合わせれば容易く動きます。

運動連鎖 小規模捻挫の関節可動域 足首 膝関節 屈曲検査 運動軸

 

 

膝のアライメントを修正し、足首関節の動きを確認しました。

再び検査を行いました。

ここまで曲げられるようになりました。

足関節捻挫後遺症

膝のアライメントを改善しただけで、ここまで曲げられるようになりました。

〈関連記事〉アライメントとは

 

足首にまだ触れていないのに、足首の可動域が上がったのは、足首関節を固定させていたのは、足関節だけの問題ではなく、膝関節や下腿の筋肉が大きく関係しているからです。

 

可動域は広がりましたが、まだ痛みはあります。想定内です。


運動連鎖の観点から

背骨の動きを回復しました。


フレームアウトしてしまいましたが、背骨の動きを回復しました。

足関節捻挫後遺症

しゃがめるようになりました。

足関節捻挫後遺症

 捻挫や突き指のような激しい痛みが発生したとき、その痛みの信号は瞬時に脊髄に伝えられます。そして、脊椎を緊急ロックします。これを反射(体制防御)といいます。捻挫は足首だけではなく、膝関節や、背骨の動きにまで影響を及ぼします。

 

足首が曲がらなかったのは全身の連動がうまく行えてなかったからです。

深くまで曲げられるようになりました。痛みの場所が変化しました。

足関節捻挫後遺症
運動連鎖 小規模捻挫の関節可動域 足首 膝関節 屈曲検査 運動軸 アライメント 捻挫

足の指を一本ずつ動かして、痛めている腱、動きの悪い腱を触知します。

 

こういうところがレントゲンには写らないところです。

足関節捻挫後遺症

腓骨筋に鍼(はり)を一本うちました。

痛みなく動けるようになりました。

足関節捻挫後遺症

以上が動画の説明です。

痛みが無く、しゃがめるようになるまで、

 

足首にいっさい触れていないのが解るでしょうか??


まとめ

足は単体で動くのではなく、全身の動きと連動して動きます。

足の痛みを治す時には、単体の痛みととらえるのではなく、全身の動きを正常に戻す事が、早期に回復する近道です。