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足首の痛み│有痛性外頸骨はこうして作られる


小学生陸上部:足首の内側の痛み

有痛性外脛骨の痛み

 

 小学生陸上部(中距離)の男の子が、足首の内側の痛みを訴えて来院しました。 レントゲンに異常がないような痛みでも、走ってみると痛みの原因がみえてくることがあります。

 

有痛性外脛骨の痛みでした。 〈関連記事〉有痛性外脛骨とは

 

 

有痛性外脛骨の患者さんは、痛みが進行し、病院に行っても治らない、そんな状態で来院する事が多いです。しかし、今回見た症状は初期でしたので、珍しいケースでした。

 

医学書を開けば、有痛性外脛骨がどのようにして発生するかを記してありますが、実際に臨床の最前線で仕事をしている私が感じるのは、一人ひとり、発生する機序は違うということです。今回、初期の有痛性外脛骨を観察することで、有痛性外脛骨の痛みが、どのように発生するかを観察することができました。

 

 

 

 


有痛性外脛骨は、足首の異常ではなく体の異常

足首の痛みだからといって、足首を治療するのではなく、全身をほぐすだけにとどめ、治療前と後で走るフォームを比較しました。


治療前

有痛性外脛骨

治療後

有痛性外脛骨 


これは、ランナー全般的に言えることですが、疲労が溜まった状態で走ると、前に出る足が(特にかかと

)が、胸より前に出なくなります。治療後のランニングは、前に出る足の踵が、胸より前に振り出された後、少し後ろに戻りながら着地します。これは正常な動きです。


治療前の走りは真上に跳ねています。

有痛性外脛骨
有痛性外脛骨


なぜ?上に跳ねてしまうのかというと、足を着く位置に問題があるんですね。一番体重が乗っている足の位置を見てみますよ。

治療前

有痛性外脛骨 

治療後

有痛性外脛骨


治療前は足の位置が体のほぼ真下にあります。治療後は足の位置が体より後ろにあります。

 

ランニング動作は、足で地面を後ろプッシュして、体を前に進める動作です。

足の位置が、体の真下にあると、地面をプッシュして前に進むのが難しくなります。体の真下でプッシュするほど、真上に飛んでしまうんですね。


体の真下で足を着くと、全ての体重が足首に乗ってしまいます。足が体より後ろにあると、足首にかかる体重負荷を後ろに流すことができます。 どういうことか?? 言葉では解りにくいけど、下の画像を見て下さい。

 

有痛性外脛骨 

●有痛性外頸骨は、最初からある骨の変形ではなくて、こうして作られていくのではないでしょうか??

治療前の足首は潰れてるのが解るでしょうか?

 

今回の痛む足は、静止の状態では有痛性外頸骨のような舟状骨の低下、出っ張りは見られませんでしたが、走ると上の画像のように足首が潰れました。 有痛性外頸骨は、最初からある骨の変形ではなくて、こうして作られていくのではないでしょうか??

 

●アーチの低下や、舟状骨の低下は痛みの原因と言われていますが、僕は原因ではなく、体のエラーの結果だと思っています。本来、人のもつ生体力学のシステムは、歩く、走るの衝撃を上手に吸収し、その力を推進力として前に進むエネルギーに変換します。しかし、背中や腰、股関節がオーバーワークにより、上手に動けなくなってくると、正常な体の動きが行えなくなり、衝撃を上手に受け流すことができなくなり、足首の骨に負担がかかります。その時、骨が壊れるのを水際で防いでくれているのが、アーチの低下や、舟状骨の低下ではないでしょうか??

 

人の体ってよく出来てるなぁ。。。って、そんな事を思いました。


今回の足首の痛みは、走る時に、前傾フォームを作れない体のエラーを治しました。


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