歩いたり走ったりすると、踵(かかと)が痛い──
そんな症状が、小学校低学年から中学年くらいの子どもに多く見られます。

特に、
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裸足で歩くと踵が痛い
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サッカーや運動の後に痛みが出る
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スパイクを履いて走ると痛む
といった訴えがある場合、**シーバー病(踵骨骨端症)**の可能性があります。
成長期の踵に起こる現象
成長期の子どもの踵の骨(踵骨)は、完全に硬くなる前は「骨端核」という軟骨が存在し、
アキレス腱や足底筋からの引っぱりや、繰り返す衝撃により痛みを起こすことがあります。
この「骨端核」は、
・6〜7歳で出現し
・16〜18歳ごろに完全に癒合(ひとつの骨になる)します。

レントゲンでは分節や硬化像が見られることもありますが、無症状のことも多く、画像だけでは判断できません。

なぜ踵が痛くなるのか?
✅ アキレス腱の過牽引
腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)の緊張や、身体全体のバランスの乱れにより、アキレス腱が強く引っぱられる。
✅ 成長スピードの急変
急激に身長が伸びたことで、筋肉や腱の柔軟性が追いつかず、負担が集中する。
✅ 歩行の異常(歩き方の問題)
正常な歩行では、踵はやわらかく接地します。
しかし、シーバー病の子ども達は──
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膝が伸びたまま着地している
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踵の尖った部分から着地している
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足の振り出しが大きく、高い位置から落とすように着地している
このように衝撃が強くかかる歩き方をしていることが多く、それが踵にダメージを与えているのです。
それは「踵の問題」ではないかもしれません
シーバー病は、踵だけの問題ではありません。
むしろ「身体全体の使い方の問題」と考える方が正確です。
たとえば…
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膝が内に入る(Knee-in)動作
👉 アキレス腱に強い牽引がかかる -
中臀筋・大臀筋の弱さ
👉 股関節の安定性が失われ、膝や踵に負担がかかる
ふくらはぎやアキレス腱に問題が見られなくても、
腰や背中、お尻の筋肉の使い方に原因があることも多いのです。

❌ 「ふくらはぎが硬いからほぐす」は不十分です
マッサージや電気治療で一時的に筋肉を緩めることはできますが、
**根本的な原因(動作の異常)**が残ったままでは再発します。
✅ 正しい治療は「動きの再教育」
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歩行や姿勢を観察し、
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痛みを引き起こしている“動作”を見つけ、
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身体全体を使って改善していく
これが、シーバー病への根本的なアプローチです。
〈関連記事〉歩く時の腕は均等に動いていますか?
検査診断
歩行の観察を行います。


治療
痛みを引き起こしている異常のある動きを探し出し、改善を試みます。


シーバー病は「踵をかばって治す」病気ではなく、
“子どもの体の使い方”を見直す機会です。
靴や靴下の選び方、立ち方、歩き方──
日常のちょっとした習慣が、未来のケガを防ぐカギになります。