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足がつる│なぜ足が動かなくなるのか?

 

 マラソンを走っていると、脚が全然動かなくなってしまう人がいます。「疲れた」という状態を超え、走り続けるのが困難になってしまう状況です。膝の屈伸運動すら満足にできなくなります。原因として過緊張とエネルギー切れがよく言われます。

 

私が言いたいのは、なぜ?エネルギー切れや、過緊張が起きるのか?・・・そんな話です。


 2018_12月 競技はフルマラソン、ハムストリングの拘ばりを感じ、足が前に出なくなる、 脚がつる(お尻の付け根からモモにかけて)、そんな症状で来院して下さいましたSさん。

 

一か月後に、嬉しい報告とともに、再び来院して下さいました。

 

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  • 脚が前に出なくて困っていた症状はでなくなった。
  • ハムストリングが痙縮することもなくなった。
  • 長い距離を走ると足がまだ拘わばることはあるけど、以前ほどではなくなった。
  • 施術直後に、フルマラソンの自己ベストを10分短縮できた。(3時間53分→3時間40分)

 

前回の治療前と、後のフォームを比べてみましょう。

足が動かなくなる原因は何か?、それらを改善するヒントが隠されているはずです。

 


イニシャルコンタクトの違いを比べてみます。

※ここでは右足に注目していきます。

 

 イニシャルコンタクトとは、前に振り出した脚を、少し後ろに引き戻しながら足が地面に接地する

タイミングのことを言います。

イニシャルコンタクト

前に出した脚の着き方の違いが判るでしょうか?


通常のランニング動作では着地の衝撃は大臀筋で支えます。

ランニングをしているときには、着地時に大きな力が加わりますが、大臀筋(だいでんきん)はその力に耐えられる強さがあります。大臀筋は、骨盤大腿骨太ももの骨)をつなぐお尻の筋肉です)

 

 

着地の衝撃大臀筋(だいでんきん)で受け止めた後、膝下を引き戻す動き(プル)によって強い推進力を得ます。

この時に使われるのがハムストリング(太ももの裏の筋肉群)です。

ハムストリング

来院された時のフォームです。

膝が屈曲し、地面に対して脛が垂直な角度で着地しています。 

大臀筋(お尻の筋肉)ではなく、ハムストリングで着地の衝撃を受けています

 

 足を前に振り出せていない為、お尻の筋肉を使う事ができていません。

ハムストリングの筋肉にかかるストレス負荷が過大になっていました。

 

ハムストリングが硬くなったり痙縮を起こすのは、ハムストリングの筋肉に負担が多くかかっているからではないでしょうか?

 

 


私見ですが、脚全体が痙縮・拘縮するようなら、エネルギー切れも考えますが、特定部分だけが硬くなる、痙縮するような場合、“ミネラル不足が原因”ではないと思うのです。 また、特定部位の筋肉が硬くなるのは、ストレッチ不足が原因と決めつけてしまわずに、正しい原因を探すことが重要と考えます。

 

不具合が出る局所をストレッチしても、マッサージしても変化が感じられない場合、別の原因があるかもしれません。


今回の治療前と後のフォーム変化です。

※ここでは右足に注目していきます。

画面上の赤い線は、耳の位置に引いてあります。

治療前と後のフォーム

治療後は、脚が前に出るようになったのがお解りいただけるでしょうか?

 

脚が前に出る角度によって、使用される筋肉は変わるのは、先に書いた通りです。

治療した箇所は、主に背中、腰です。

 

ランニング全身運動です。上半身、下半身、腕、脚の動きが密接に絡まり合い、ランニングフォームを形成しています。

脚が前に出ない拘わばる等症状は、足の筋肉の問題だけでなく、全身の動作に問題があると私は考えています。