【五本指ソックスを勧めない理由】
足で走ったときには問題がなかったのに、
五本指ソックスを履くと、膝が内側にねじれる「ニーイン動作」が発生しました。
※なお、これはすべての五本指ソックスに当てはまるわけではありません。
製品によって構造や影響は異なります。
【症例】
中学2年生・女子(陸上部・長距離)
半年前から右膝に痛みを感じるようになり、
地元の接骨院に半年間通院するも改善が見られず、当院を受診されました。

練習で使用していたのは、
陸上競技用として市販されている五本指タイプのレースソックスでした。

五本指ソックスを勧めない理由
素足で片足立ち検査を行ったところ、
問題なく安定して立つことができました。
しかし、練習時に使用していた五本指ソックスを着用した状態では、
バランスを崩しやすくなり、明らかな不安定性が観察されました。

“レーシングソックス”として販売されている製品の中には、
サポーター機能や滑り止め加工など、さまざまな機能が盛り込まれたものが多くあります。
広告を見ると、いかにも足に良さそうな印象を受けるかもしれません。
しかし──
実際に靴下を裏返してみると、
内側が平らに作られていないものも存在します。
そのわずかな凹凸が、足裏の感覚やアーチ構造に影響を与えることがあるのです。

こうした構造の影響により、
素足では安定して片足で立てていたのに、
靴下を履いたとたんにバランスを崩してしまうケースが少なくありません。
片足でグラつくということは、
足の筋肉や膝の関節に、余計な負担がかかっているというサインです。
この小さな不安定さの積み重ねが、痛みやケガの原因になる可能性があります。
素足で走ると問題はありませんでした。

検査は、最初に素足+シューズで20秒走りました。
体幹軸、肩、腰の傾きに大きな異常はありませんでした。
着地の右足は、後ろから見て小指と薬指が見えています。
五本指ソックスを使用すると、体が傾きました。
素足とシューズで20秒走った後に、いつも練習に使っていた五本指ソックスを履き、同じ速度で20秒走りました。
ニーインが発生し、体幹軸、肩、腰が大きく傾きました。
着地の右足は、後ろから見て指が見えなくなりました(トゥー・イン)。

五本指ソックスを使用すると、膝が捻じる動きが出ました。

同じ動きを繰り返しました。
以上のことから、今回の膝の痛みの原因は、使用していた五本指ソックスに原因があったと思います。
ランニングフォームを作るのは姿勢
持ち込まれた五本指ソックスと、ラクちんソックス、素足との姿勢の変化は下記の通りでした。

ランニングフォームの違い
持ち込まれた5本指ソックスで20秒走った後、ラクちんソックスを履いて20秒走りました。

ラクちんソックスは、走る時や歩く時のグラつきを抑え、怪我の発生を防ぐ靴下です。


