疲労骨折とは│スネの内側が痛い。コレって疲労骨折⁉

概要:疲労骨折(ひろうこっせつ)とは


 疲労骨折とは、針金を繰り返し折り曲げ続けると折れてしまうのと似ています。

 

1回の大きな衝撃でおきる通常の骨折とは違い、骨の同じ部位に繰り返し加わる小さな力によって、骨にひびがはいったり、ひびが進んで完全な骨折に至った状態をいいます。

 

  とくに骨が柔らかい成長期(15・16歳前後)のアスリートに好発します。

 


内スネの疲労骨折

特にアスリートに多いのは内スネの疲労骨折です。

疲労骨折の治し方

※中足骨の疲労骨折(ジョーンズ骨折)については別のページで解説してます。

〈関連記事〉 ジョーンズ骨折


疲労骨折が発生する原因

 

同じ部位に無理な動きによる負担がかかっていることが原因です。

 

なぜ?その痛みが起きたのか?原因を究明し、対処することが最も重要です。


疲労骨折を起こしやすい走り方

 

疲労骨折(左のスネ)を起こした選手のランニングフォームです。

(疲労骨折し、一ヶ月の休息後のフォーム)

 

 

疲労骨折をした側の足(左)をついたときに、大きく左に傾いて走っています。


疲労骨折が再発しやすい理由

 

 疲労骨折が再発しやすい理由は、骨折の傷は治っても、骨折をした同じ動作を繰り返すからです。


正常な動作と異常な動作

 通常の歩行やランニングで、片足に一番体重が乗ったとき(着地)膝の外のラインは小指より外に出ないのが正常です。


異常な動作

 シューズを履いて走ると、膝の外のラインが小指より外に出ることがあります。

 いわゆる“スネの骨が外に傾く動き” です。

 

スネの骨が外に傾くと、スネの骨は捻られるので、膝や足首を痛めやすくなります。このときに、骨がまだ柔らかい10代のアスリートでは、骨が捻られる動きを繰り返すと、骨にいみりが入り、疲労骨折を起こします。

 

動作はシューズの影響を受けている

 

素足の着地とシューズを履いたときの着地の比較です。

 

 

素足で走る動きに問題がないのに、シューズを履いて走ると問題が発生するのはシューズに問題があるからです

 

片足で真っ直ぐに立てますか?

 

 シューズを履いて片足で立ったときに外に傾くシューズは、運動中も傾きます。傾きが多く発生すると、疲労骨折は起こしやすくなります。

 

 


同じ痛みを繰り返さないために

まぼろし工房では、シューズが原因する怪我を防ぐ靴下を研究をしています。


 

疲労骨折の原因は書き切れないほど無数にあげられますが、よくある例を挙げてみます。

 


疲労骨折の原因の一つにシューズのセット位置があります。

小指がシューズからはみ出している


高速度で走るときの衝撃は、シューズの形を変形させることはあまり知られていません。

 

〈関連記事〉シューズのセット位置

 


ミッドソールの摩耗

多くのアスリートはシューズの交換時期の目安をアウトソールの削れやグリップの低下で判断しています。

アウトソールが明らかに異常が出る前に、衝撃を吸収する目的のミッドソールははるかに早く寿命を迎えます。

 


衝撃が逃がしきれていない。

歩行やランニング動作において、全身が正しく動いていない場合、生体力学に狂いが生じ、

地面からの衝撃を吸収しきれなくなります。

 

ランニング時に、地面とコンタクトする足首は、全身の悪い影響を受けやすく、

壊れやすい箇所と言えるでしょう。

 

 

左の足首がプロネーションを起こしている子供の歩行です。

●ズボンの裾(すそ)に注目して下さい

 

 床に足を着いたとき、左のズボンの裾が揺れるのが解るでしょうか?

 ゆっくり歩いたときに、踵にかかる衝撃は体重の約 1.2 倍と言われています。

 

 ランニング時で 1.5 倍、ジャンプで約 5 倍と言われています。 

   体重50kgの人で、片足にかかる負担は 72kg~250kgにも達します。

 

〈関連記事〉疲労骨折の本当の原因

 

 

 

 


フォームの崩れ

シューズや体に異常がなくてもフォームが悪ければ疲労骨折は起こりえます。

 


●フライの高さや膝が伸びきった接地

〈関連記事〉 フライ(リカバリー)

 

●ディスエンゲージメントで荷重が残っている

理想的なディスエンゲージメント

ディスエンゲージメント(足が地面を離れる瞬間)で、足で地面を押している


原因

どんな痛み?(症状)

・初期:運動時に痛みがあり安静時に軽快します

 運動を継続する→運動時に痛むタイミングが次第に早くなります

          ↓安静時にも疼痛が出現する・運動制限がかかります

          ↓体重がかかっていなくても痛みが続きます

好発部位

検査診断

★競技による骨折多発部位は以下の通りです

・中足骨(35%):素早い動きを要求される競技(ランニング・サッカー・バスケットボール・ラグビーなど

          つま先立ち・ジャンプ動作の多い競技(バレエダンサー・新体操選手など)

・脛骨(27%):ジャンプ競技(バレーボール・バスケットボールなど)

         ランニングの多い競技(陸上長距離・サッカー・野球など)

・腓骨(9%):陸上長距離・ダンサーなど

・大腿骨(3%):ジャンプ動作・着地動作が多い競技(陸上競技・サッカー・フィギュアスケート・新体操など)

・足関節内果(3%):サッカーなど

治療

・明らかな外傷が無く慢性的な痛みや腫れがあるとき→疲労骨折を疑います

・X線検査(レントゲン)を撮影し確定します

 骨折の有無を確認する・・・初期では骨折の所見が認められないことが多いです

 判断が難しい場合→3〜4週間後に再度X線を撮ります

          MRI検査・骨シンチグラフィー・超音波検査などの精密検査を行います

・局所を安静にする・負担をかけない→ほとんどが治ります ★普通の骨折と異なりギプス固定が必要ないのが特徴です

 疲労骨折の発見が遅れた場合→難治性骨折・偽関節となる場合がある・・・手術が必要な場合があります

・再発予防:疲労骨折が発生した要因を検討し対策を行うことも重要です

      例・・・オーバートレーニングを起こさないメニューを組む

         トレーニング環境の改善→コンクリートよりグラウンドで練習を行う

リハビリテーション

・完全に回復するまで体重のかからない運動を行い、体力の維持を図ります

 例:水中歩行・水泳などによる有酸素運動

・骨折患部以外→積極的にトレーニングを行います

 例:患部以外の筋力や筋協調性を高めるトレーニング・筋の柔軟性向上

・完全復帰に向けて・・・競技動作の改善などを行い再発予防を図ります